※エンドカード画像ネタバレ注意
yukuです。
黒子のバスケ3期14話感想です。
先週に引き続きかなりのハイテンポっぷりです。
ちなみにOPが帝光編ヴァージョンになってましたが、黄瀬が初心者らしくレイアップシュート(庶民シュート)してたのに芸の細かさを感じました。
たしか高校生編のOPでは華麗にレーンアップ決めてましたよね。
えと本編いきます。
紆余曲折あったものの見事帝光中「幻の六人目(シックスマン)」の地位を確立した黒子。
そして学年が上がりついにのちの「キセキの世代最後の5人目」となる黄瀬涼太が1軍入りしてきます。
しかし明るい話ばかりではなく、虹村による主将の座離脱により、赤司は二年生の春にして早すぎる主将交代を言い渡されます。
▼父の病気を理由にキャプテンの座を赤司に明け渡したいとコーチに辞意表明する虹村
▼一度は引きとどめるも最終的には「監督に話しておこう」と虹村の意思を受け入れる真田コーチ
そして「偶然」虹村とコーチのやりとりを立ち聞きしていた赤司は改めて虹村によって主将の重責を託されます。
なお赤司は「黄瀬黒子2軍同伴」にて黄瀬をチームに馴染ませることを成功させた暁に、黄瀬投入で実力的にも用済みとなる灰崎へは素行不良を理由に退部勧告を断行。
▼ゲーセンでサボる灰崎。どこか目はうつろである。
たしか原作ではこのシーン、「灰崎の素行の悪さ」を語る赤司の台詞のバックには他校の生徒をボコる灰崎のコマが表現されていました。
さらにワンオンワンでけちょんけちょんにした黄瀬に暴行を働くシーンもカットされていたことで灰崎の暴力的なイメージは薄れ、かわりにこのうつろな目をして練習をサボる灰崎の表情から、すでに灰崎が開花後のキセキの世代たちの行き着く姿を象徴しているかのような印象すら与えられました。
もしかしたらアニメスタッフさん的解釈で意図的にそういうカットを選んだのかなとさえ思えたりします。
たしか灰崎戦の際もアニメオリジナルで黒子が灰崎の能力について「練習では(本気を出してなかったので)ほとんど見せることがなかった」ため途中入部の黄瀬は灰崎の能力を知らなくても仕方ないといった解説が付け加えられてました。
つまり、練習中は黄瀬によって「レギュラーの座をかけてまで」勝負を挑まれていたにもかかわらず全く本気を出すことなく、そしてなお灰崎はこの時点では圧倒的な力の差を見せつけられるほどの実力者であったことがうかがい知れます。
原作を読んだ時には全くそういう解釈は念頭になかったのですがひょっとしたら、少なくともアニメヴァージョンでは灰崎=もっとも早い能力覚醒者=バスケへの情熱は反比例して失われていったという構図解釈もアリなのかなとかって思ったりしました(あくまでアニメverだけの解釈です)
えと話逸れまくりました。
さて全中に向けてついに白金監督へ練習メニューの指揮権は移行し、正式に赤司は主将に任命されます。
あまりに早い主将着任に動揺を隠せないバスケ部員たち。
その日の下校時は赤司新主将の話題で持ちきりなところ、1年の時から赤司の参謀的ポジションとして部の相談を受けてきた緑間によって赤司のスゴさが語られます。
途中入部にしてすでにチームメイトたちのムードメーカー的ポジションとしてクルクルと立ち回る黄瀬が無邪気で可愛いです。
さて一難去ってまた一難。
このごろバスケが絶好調の緑間と紫原、もともと仲はそれほどよくなかったとのことですが、特に衝突が増え、練習にも支障をきたすように…
「赤司、どうすんだこれ」と新主将にさっそく解決を促す虹村。
が、赤司は「様子を見ましょう」と放置。
そうこうするうちに黒子の提案で3on3が行われ結果、黒子のパスを巡り青峰と黄瀬が取っ組み合いのけんかを始めたことでそれを傍から見た緑間と紫原も毒気を抜かれ諍いは沈静化します。
当初の目的を忘れ本気の喧嘩をおっぱじめる青峰と黄瀬
そして赤司は当然、こうなることも想定済みだったようで、あえての放任主義を貫いた模様です。
この一件からも、赤司は主将としては現場主義タイプというよりまず「盤石の態勢を整える」ことを何より重視するタイプなのかなということがうかがえます。
つまり赤司が描く理想の磐石さえ最初に整えてしまえば、その盤上で起こる現場の小さいいざこざは現場で解決させるものであり、よほどのことがない限り自分からあれこれ手を下すことはしない方針なのかなってことです。
だからこそ逆に「勝つためのチーム」としての磐石を整えることに対し、赤司は誰よりも貪欲でスピーディかつ思い切りの良い決断力を発揮します。
例えば3軍ですら「使い物にならない」と誰もが見放していた黒子の力を見出しシックスマンとして1軍レギュラーにまで押し上げたり、素質があるとは言えバスケ初心者の黄瀬を灰崎の代わりにスタメンに起用したり、その判断力と行動力は赤司ならではの采配力に基づくものであると思います。
現に副将の緑間ですら、あれほど灰崎の素行不良ぶりを忌避していたにもかかわらず、実際のスタメンは「腹立たしいが灰崎だろう」と言及しています。
つまりあの時点では、たとえどれほど黄瀬のプレイにポテンシャルを見いだせてはいてもやはり「スタメンは灰崎」という采配が部内では主流であり、ポテンシャルがあるとはいえズブの素人の黄瀬を灰崎とすげ替えるなどという采配は当時の帝光バスケ部においてかなり革新的なものであったということがうかがえます。
赤司の主将としてすごいのは、選手の実力を見抜く目ではなくその潔い「決断力」と「行動力」であると思われます。
黄瀬の変わり身の速さに「あれくらいわかりやすくてもいい」と語る赤司でしたが、このセリフからもしかしたら黄瀬篭絡にはもう少し時間がかかることも赤司の中では覚悟していたのかもしれません。
しかし予想以上に早くそれは達成されたことで、全中メニュー切り替えまでにすべての磐石は整えられ、赤司が正式に主将就任した時点では、もはや虹村主将体制とは全く色合いの異なるチーム体勢へと見事に塗り替えられていたというわけですね。
開花青峰の憂鬱は晴れずともまだまだ仲の良いキセキの世代
(あっ犬猿の仲だった緑間と紫原がいつの間にか一緒にいる…!)
そしてそれを微笑ましく見つめる桃井
こういう仲良しキセキな場に赤司が必ずといっていいほど不在なのは少し切ない気はしますが……
さて「黄瀬黒子問題」を難なく解決し、問題児・灰崎を退部させ、盤石のチームを整えた赤司主将のもっぱらの懸念点は青峰のモチベーション低下。
それを解消させる意味もあり「ノルマ20点制」を提案します。
このあたりから徐々に、相手チームの尊厳を無視した「勝利至上主義」の足音が忍び寄る感じです。
どこか反応の薄いほかのキセキたちとはうらはらに、なんの疑いもなく「20点ノルマ制」という、相手チームへのスポーツマンシップを欠いた赤司の提案に対し無邪気な様子でやる気を見せる黄瀬。
――このあたりからかな
開花青峰の憂鬱を吹き飛ばしてくれそうな黄瀬の明るい天真爛漫さが、「無邪気ゆえの残酷さ」として表出してくるのは…
さて白金監督にして「優勝は確信」と言わしめる赤司新体制の最強チームで挑む全中――
注目のされ方も去年とは段違いの模様
すごい数の取材陣に囲まれる青峰と黄瀬
しかし原作にあった「プレッシャーに飲まれそうになる」キセキの世代のシーンが削られていたことで、唯一といっていい「化け物」になる前のキセキの世代たちの表現描写がなくなっていたのは個人的に少し残念ではあります。
まあ、そういうのはすっ飛ばしてサクっと全中優勝展開に持って行ってくれたことで、敗退したことを電話口で涙ながらに黒子へ告げる荻原君とのコントラストがより浮き彫りにされてよかったのかもしれませんが…
負けたことで黒子との約束を果たせなかったことを悔やみ涙する荻原君と、一方で荻原君や他校の選手たちがのどから手が出るほど欲しかった「優勝」を難なく手に入れたにも関わらず沈む青峰の構図はなかなかシュールではありました。
恐らく青峰が帝光時代の試合で見せた最後の笑顔
こんな感じで感想以上ですっ。