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Channel: ゆめかたつの曲解的漫画考
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【バーボン編考察】なぜ赤井秀一はバーボンに関する情報をコナンへ共有しようとしなかったのか

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バーボン編の絶望感が凄まじいのは、何より赤井秀一という切り札を失った直後の喪失感と虚脱感の渦中、味方側の戦力が圧倒的に削られた状態で黒ずくめの組織コードネームつきの強敵を迎えうたねばならないという、いわゆる「無理ゲー」っぷりにありました。

ジンやベルモットも脅威ですが、彼らはあくまでも探られる側にあり、コナンサイドが何もアクションを起こさない限り、積極的に襲ってくることはありませんでした。しかしバーボンに限っては標的をはっきりとシェリーに絞った上で襲撃してきます。加えてコナン側は警戒するにもバーボンの外見特徴含め、肝心の手がかりと呼べるものが何一つありません。分かっているのは「情報収集力・観察力・洞察力に恐ろしく長けた探り屋」という極めてハイスペックであるというキールからの情報のみ。

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…が、ちょっと待ってください!

今から思えば赤井って確か潜入時代、バーボンとは行動をともにしてましたよね。ということは少なくともバーボンの外見的特徴だけでもコナンへ伝えてやることで、コナンの負担は随分軽くなったのでは…?!?!

バーボンの子供時代のあだ名が「ゼロ」であるという事がコナンから赤井に正しく伝わっていたことからも、赤井⇔コナン間での情報ラインは生きていたのは明白です。

それにも関わらず赤井は最後までバーボンの外見的特長や組織時代の因縁など伏せていたのは、単なる報連相不足で片付けられるものでしょうか。

本来ならバーボンが毛利小五郎に接近してきた時点で厳戒態勢を敷き、決してその懐に入らせないようにするべきだったにも関わらずみすみすバーボンを泳がせた…その結果、ベルツリー急行ではかなりのリスクを背負うことになったわけですし…

ではなぜ赤井は敢えてバーボンの情報をコナンへ伏せていたのか。


1.コナンが赤井に信頼を寄せているほどには赤井はコナンへ信頼を寄せていなかったため
2.コナンを護るため(知っていることは少ないほうが安全性は保たれる)
3.バーボンを護るため
4.赤井自身が元々、報連相は極力しない主義なため


結論から言うと1~4すべて当てはまるのではと考えております。

まず1ですが…「赤井はさほどコナンへ信頼を寄せていなかった」という表現では若干の語弊がありますが、要はもし、逆にコナンへ自分の知ってるバーボン情報を全て開示した場合、「果たしてこの坊やはどういう行動を取るか」と赤井なりにシミュレーションしてみた際、どう考えてもあまり良いパフォーマンスは期待できない…下手すれば最悪バーボンによって返り討ちにされるとさえ想定していたのではないでしょうか。

もし赤井がコナンへバーボンの外見的特徴を仔細に伝えていたら…ウェディングイブの回で安室透に扮したバーボンが接近してきた時点で、キールから「探偵のような奴」と事前に聞かされているコナンはその正体に勘づくでしょうね。そうすれば超行動派のコナンのこと。そのままバーボンが毛利探偵事務所に出入りするのを放置するはずもなく、軽率に何らかのアクションを起こしてしまう可能性は極めて高い。特に蘭がバーボンの懐内にいるというだけでさらに冷静な判断はきかなくなってる事でしょうし、もしかしたら安室=バーボンであるという確証を得るために彼の顔写真を写メに収めて赤井に送るくらいのことはしてしまいそうです。そして勿論バーボンがそんなことさせるはずもなく、その時点でコナン⇔赤井の情報ラインも掴まれ、一網打尽にチェックメイト…っていう顛末が目に浮かぶようです。

あるいはコナンが安室=バーボンであるという事を知った上で辛抱強くアクションを起こさず泳がせていたとしても、よほど高度な演技力でなければ恐らく「組織随一洞察力に長けた」バーボンにあっさり見破られ逆にコナン⇔赤井の情報ラインを攻め込まれてしまいそうですよね。

つまり、あの時点で赤井から何も聞かされてなかったからこそコナンは安室と自然に接することができたわけですし、結果的に「2.コナンを護る」という赤井の思惑も当面果たせたわけです。

そして「3.バーボンを護るため」についてですが、もしかしたら赤井はすでに8割方、バーボンの正体について勘付いていたのかもという考えです。

「組織にいたころから(公安の諜報員であることを)疑ってはいたが…」と言ってましたがもはや「疑う」というレベルよりは確信に近かったのかもしれませんね。だとすればそれはいつから?と考えたとき、恐らくですがスコッチ殉職以前と考えるのが自然です。ほぼ確信はしていたが100%ではない、だから自分の身分は明かせなかったけどスコッチの一件はずっと気にかけていたし、あの現場で起きた真相(バーボンの足音をきっかけにスコッチが引き金を引いた事実)を話せないでいた…

バーボンにとって赤井の生存はシナリオに無いこと、だからもし赤井がコナンと情報共有してしまえば、バーボンの計画を邪魔してしまい、結果、その身を危険にさらしてしまう。一方で赤井にとってバーボンは(確証はないが)正義側の人間につき、泳がせておいてもコナンやシェリーが命の危険に晒される可能性は薄い…とまあこうした判断もあったのではないでしょうか。

ただ赤井が果たしてここまで緻密に熟考してコナンにバーボン情報を共有しなかったのかと考えると、これまた微妙なところではあります。

大抵の人の考え方として「自分の知り得る情報は取りあえず、可能な限り関係者へ伝えておくべき」というのがあります。共有できる情報は多ければ多いほど良しとされているのがまあ社会的な一般常識概念ではないでしょうか。

しかし赤井は恐らく経験則からなのか、「共有する情報は最小限に」とする習性が見受けられます。いわゆる「報連相の概念が欠如した奴」とでもいいましょうか。

現にジョディからも、何も知らされてなかったことを詰られてます(結果、計画はスムーズに完墜できたわけですが…)

というわけで「4.赤井自身が元々、報連相は極力しない主義なため」というのもどうやら当てはまりそうな感じです。


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