こんにちわ
yukuです。
少年ジャンププラスの新人漫画家・渡辺優平氏による読切作品『ウソキヅキ』が、今週11/28(土)フジテレビ放映「世にも奇妙な物語 25周年SP」で異例の実写化デビューを果たしました。
『嘘が生まれた日』というタイトルで放映されます。
少年ジャンププラスでのこうした民放TVによる実写化は初じゃないです?
しかもオムニバスの1話のみとはいえ、老舗の超ロングヒット番組に採用されるなんてなかなかの快挙ではないでしょうか。
まあしかしこの作品、いかにもジャンププラス向けというか…まあ清々しいほどのストーリー重視にして若干風刺めいた感もあったりして、およそ従来の少年ジャンプでいうところの「ジャンプらしくない」作品といったところでしょうか。だからこそのジャンププラス投稿作だったわけですが、このたびの快挙は少年ジャンププラスが最初に挙げていた「少年ジャンプを倒す」という目標にまた一歩近づけたと言っても過言ではないでしょうか?
そういえばジャンププラスの人気作品ってこう、『カラダ探し』や『ラブデスター』、あとは現在休載中の『神様、キサマを殺したい』などのミステリ要素の濃い作品がどちらかというと好まれる傾向にあるのでしょうか…
ジャンプ本誌連載陣でいうところの『デスノート』など、いわゆるストーリー重視な「邪道」と言われていた作品がジャンププラスでは「王道」の座に君臨しつつあるような気がします。
これは単純に読者年齢層の違いというのもあるでしょうが、編集サイドの訴求方法の違いというのも大きく関係するのでしょうね。
別にどちらが良い悪いという問題ではなく、少年ジャンプ本誌とジャンププラスではまず「部数(読者総数)」の規模があまりに違うため、いわゆる「メディアの影響力」を考慮するなら、ジャンププラスが比較的そういうものに縛られず、少年誌の枠を超えてノビノビと挑戦し続けられるのに対し、ジャンプ本誌は「大御所」ならではの制約や配慮義務が大きく関わってくるとは思います。
さらに言うならば、ジャンププラスの読者ターゲット層としては、明言はされてないものの恐らく「アラサー世代(20代半ば~30代)」を想定しているのではということは復刻作品のチョイスなどから鑑みることができます。
ある程度自分のお金を自由に使えて、SNSにも精通しており、サブカルにどっぷり浸かりきった、スマホアプリなども使いこなせる世代です。
ジャンプラが「無料配信」などという大盤振る舞いをしている狙いは「コミックスの売上」というより、ひょっとしたらアニメ化やゲーム化に伴うグッズなどの二次使用による収益を見込んでいるのかなとも思ったりします。
『バクマン。』でも言及されていたように、昨今の少子化による少年漫画市場縮小で、もはやコミックス売上だけでかつてのような収益を上げられる見込みは薄い…かといって「少年ジャンプ」が「少年誌」である以上、そのターゲット層を「それなりの収益が見込める大きいお兄さん(お姉さん)」向けに切り替えるわけにもいかない。だからこそのスケープコードとして「少年漫画の枠を超えた」などという大義を掲げた、F1層による「二次使用収益」を図るべく旗揚げされた媒体=少年ジャンププラスということなのかもしれません。
さて、もし「少年ジャンププラス」のターゲット層が前述したようなアラサー世代=かつての少年層ということであるならば、やたらとシチュエーションミステリの類が多いのもうなずけます。もっと言うなら「大人向け」…というより、ピンポイントで「アラサー世代向け」であることを感じます。
これは個人的な所感ですが、どうもアラサー世代のオタク=考察厨の先駆けというのがイメージとしてあったりします。
影響としてはやはり『エヴァンゲリオン』をリアタイで観ていた世代だからなのかなあとか…
影響としてはやはり『エヴァンゲリオン』をリアタイで観ていた世代だからなのかなあとか…
かつての王道的少年漫画にみられた主人公=「正義」では必ずしもなく、そもそも「正義」なんてものは境遇や立場によっていくらでもカタチを変えるあやふやなものであり、昨日まで「正しい」と信じて疑わなかった世界も価値観もちょっとしたきっかけで容易く崩壊するような…そんな混沌を生きる主人公たちの作品が支持される世代でもあるように思います。
「難しいことはいいからとりあえず主人公(正義)がドカーンと悪を倒すようなスカっとする王道漫画を読ませてくれ!」という需要ではなくなってきたということです。
そんな風に『エヴァ』で鍛え抜かれたややこしい「考察脳」を満たしてくれる作品としてはやはり、かつて少年ジャンプ作品ではどちらかというと「邪道」として認識されていた『デスノート』だったり『レベルE』だったり…『ジョジョの奇妙な冒険』も「邪道」ジャンルに振り分けられるのかな?あるいは「ジャンプっぽくない」という理由で落選の憂き目を見たものの、今や別雑誌にて大ヒットを果たし社会現象にまでなった『進撃の巨人』もまた、考察厨なアラサー心をくすぐる「邪道漫画」と言えるのではないでしょうか。
そう考えるとジャンプラ作品はラインナップ的にも「ジャンプっぽくない」けど、アラサー世代に大ウケしそうな作品の宝庫であるように見えてきます。
さて本題に戻りますが『ウソキヅキ』もまた、読切ではあるものの、シチュエーションミステリのジャンルとしては大変よくできた世界観と起承転結であるように思えます。
まさにバカ王子や亜城木夢叶が持込みしそうな…ジャンプ本誌に持込みしたら恐らく「キャラが弱い」「もっと主人公を分かりやすく活躍させられないのか」などという注文が来そうですね。いや、今のジャンプ編集部はそんな野暮なコトもう言わないのかな?
そして「世にも奇妙な物語」という、それこそ「シチュエーションミステリ(オムニバスミステリ)」の金字塔ともいえる番組の実写化に選ばれたことはまさしくジャンププラスの今後に大きな影響を及ぼすものであると予見します。
なお、作品内容が気になる方は、今ちょうどコチラのジャンププラス公式アプリにて掲載中ですのでチェックチェックです。
”「嘘のない世界」で巻き起こる世にも奇妙な物語を漫画版&ドラマ版で目撃せよ!!”(公式ページより抜粋)
