昭和の大ヒットアニメ『おそ松くん』作者・赤塚不二夫先生の生誕80周年を記念して制作された『おそ松さん』が今、腐女子界隈でひそかに空前の大ブームを起こしつつあります。
『おそ松くん』の世界観やテイストそのままに、6つ子たちが大人になった未来を描くオリジナルストーリー
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ややタッチは今風に垢ぬけた感じにはなっているものの、基本的には当時のキャラたちの面影はそのまま引き継いでいるようです。
特にイケメン男子がいるわけでもなし、一体この作品のどの部分が彼女たち腐女子の心を掴むに至ったのか……
まず昭和版『おそ松くん』との大きな違いといえば、6つ子のキャラに個性を強く出したことと、それに伴い声優陣も腐女子人気が見込める「旬」の顔ぶれを揃えているということでしょうか。
なお昭和版では、あくまで主役は6つ子でしたがどちらかというと彼ら以外の濃いキャラたち(イヤミやデカパン、チビ太など)に食われがちではありました。
一方で平成27年版ではそれに大きく手を加え、6つ子らの個性にスポットをあてることで、男同士のCP(カップリング)に萌える腐女子的に「新たな可能性」を訴求せしむ結果となったわけです。
しかし、それだけのことでここまで腐女子の心を掴めるならば苦労はしません。
ここは6つ子の個性や豪華な声優陣などの要素以外にも、『おそ松さん』が腐女子ブームを巻き起こすに至るあらゆる仕掛けが隠れていると考えるべきでしょう。
そこで僭越ながら、今般の『おそ松さん』ブームの背景と所以について、様々な切り口から軽く解剖していきたいと思います。
”腐女子の生態”を知り尽くした、アンチを恐れない鮮やかなる炎上テク
『おそ松さん』の監督が『銀魂』の藤田陽一さんということもあり…1話目から腐女子らを敵に回しかねないパロネタで話題をさらいました。
もはや、やらかした感しかない…
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こうした炎上商法もツイッターなどSNSツール時代ならではの戦術なのかもしれないですね。
おなじみPTA苦情ものの下品ネタも健在…
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しかしなぜかこうしたいわゆる「不謹慎な」ネタ振りが大好きだったりだったりするのが腐女子の不思議なところです。
高度なエンタメ性を評価しているというよりも、こう、銀魂や今回のおそ松さんにある「悪ふざけ」的ノリが、女子にはない、男子ならではのノリとして、新鮮に感じる部分はあるのかなって思ったりします。いわゆる「男子って本当バカだなー(*^^*)」っていう…
そういう意味ではむしろ、女性に媚びず寄り添わず、多少悪ノリが過ぎるくらいに「男だけの世界」で好き放題、馬鹿やってる方が結果的に女子ウケするのかなとは思います。たとえハメを外しすぎてPTAから苦情が入ろうとも、あるいはSNSが大炎上しようとも…
どれほどオリジナリティを出しても原作との乖離はしない
ところで『おそ松さん』が、大人になった6つ子たちの未来という設定は何も思いつきで描かれたわけではありません。
原作版にも実はちゃんと「6つ子らが大人になったら?」という「もしも」の未来が描かれたエピソードが存在します。
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こちらでは
・六つ子=デカパンが社長を務める製薬会社の研究員
・イヤミ=製薬会社の受付係
・チビ太は社長秘書
といったように、設定はかなり異なるものの、原作版のエピソードを世襲していることは間違いないでしょう。
10歳時はほぼ没個性な6つ子らがそれぞれ個性を身につけているという設定もこちらから拝借しているものと思われます。
▼原作版ではせいぜいこの程度の個性だった子供時代の6つ子たち(※色付きの注釈は私の勝手な所感です)
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まあ、強いて言えばおそ松と一松、十四松あたりはやや現代verのキャラを彷彿とさせる気はしますが…それでも現代版ほどパっと見分けがつく個性ではないですよね。
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自分の没個性を嘆き、イヤミに相談する十四松。
イヤミから授けられた言葉に開眼し、空まで飛んじゃいます。
このぶっ飛んだ感じは、今の十四松のキャラ個性にそのまま引き継がれているのかもですね。
ちなみに先ほど紹介しました原作版「30年後のおそ松くん」では、他の6つ子に比べて髪がフサフサなままなのも、長男のおそ松(小6のまま成長してしまった奇跡のバカ)と五男の十四松(異常に明るく異常にバカ)ですからね…逆にチョロ松(6つ子唯一の常識人)はツッコみ役というだけあって苦労が絶えなかったのでしょうか。一番毛髪へのダメージが大きいようです。
こうした、わかる人にだけわかる的な、細かーい部分でさりげにキャラ設定を原作輸入してくるあたり、ニクい演出と言わざるを得ません。
『おそ松くん』の6つ子設定だけ借りた、ただの男所帯アニメであればここまで腐女子らの心を掴むことはなかったでしょう。あるいは所詮一過性のブームで終わっていたかもしれません。
しかしながらこうしたところどころの原作リスペクトを感じさせる丁寧な仕掛けこそが、ニワカでは終わらせられない、復刻版アニメの「含蓄深さ」として支持され得るのかなと思ったりします。
2匹目のドジョウを狙うなら…?!
時はまさに腐向け市場戦国時代。
ここ近年の腐向け市場にて一世を風靡した、テニプリ・イナイレ・ヘタリア・黒バス・進撃などもピークを過ぎ、次世代腐マーケットの担い手となるかに見えたとうらぶ(刀剣乱舞)もトレパク問題など何やら不穏な動きを見せる中、この真空地帯に新星の如く登場したおそ松さん…
・きちんとした原作漫画の復刻版だからパクリ問題も生じにくい
・深夜番組ゆえ「制約」も緩い
・原作が「腐向け」作品とは程遠いためそちらのハードルは低い
・もともとがギャグ路線のためアレンジしやすい
(いわゆる「なんでもあり」)
こうした、昭和の名作アニメを腐向けに醸成させることで、飽和状態のアニメ市場に可能性を切り開いた『おそ松さん』。
果たしてその2匹目のドジョウを狙うとするならば、どういったものになるかちょっとだけシミュレーションしてみました。
まず条件としては、
・昭和の大ヒットアニメ
・もとが腐向けでないもの
・ギャグあるいはシチュエーションコメディもの
・男所帯(ユニット系が好ましい)
…ウーン、なかなかむつかしいですね。
ていうか私自身が昭和アニメって殆ど知らないんで…こっからはかなりニワカ語りになりますが、もし不快な点がありましたらゴメンナサイ。
えとまず『ビックリマン』なんかは男所帯な上、初期のころ(次界に行くまで)はストーリーのないギャグ一色でしたので、どうかなって思ったのですが…
そういえばスーパービックリマンとかいう、ビックリマンの設定だけ借りたいかにも腐向けなスピンオフがすでにあったりしましたね…
できればこれまで一度も「腐向け」では手掛けられたことのない作品というのがベストなんですよねー。
『パタリロ』や『ハイスクール!奇面組』なんかも男所帯のギャグアニメになるのかな?
欲を言うならもう少し「お茶の間」感が欲しいところですね…Image may be NSFW.
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『ついでにとんちんかん』や『パーマン』などもシチュエーションコメディのノリ的にはいい線いってるんですが、いかんせん徒党の中に紅一点ヒロインが混じっちゃってるんで、男所帯の条件は若干満たしてないということでアウト…
こうしてみると、『おそ松くん』のようないわゆるユニット系の男所帯ギャグアニメって、ありそうでないものですねー…
あっ、アニメ化されてるかどうか不明ですが、岡田あーみん先生の『こいつら100%伝説』なんかも男所帯のギャグ漫画でしたね。
あるいは『進撃の巨人』のように、シリアス系の男所帯ものを「学園コメディ」にアレンジするというのはどうでしょう。
例えば昭和の男所帯アニメ大御所『聖闘士星矢』の学園コメディとか…『キン肉マン』でもアリですかね。もしくは先ほども話題に出した『ビックリマン』なんかでも…
ただし、『聖闘士星矢』などはすでにそちらの界隈ではかなり醸成しつくされた感があるので…下手をうつと劇薬になりかねない「ハードルの高さ」がネックです。
あっ、ちなみに少し視点を変えて、「男性向け」――いわゆる「萌え豚向け」として狙うならどのあたりになるでしょうか。
例えば昭和アニメ屈指のホームコメディ『あさりちゃん』を美少女姉妹ということにして復刻させるとか…
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サブカルチャーの飽和化、あるいはSNSの進化もあり、「パクり」に対して良くも悪くも厳しすぎる世の中となった今、100%オリジナリティを追求するよりも、こうした過去の名作を新たな切り口から、マーケット開拓の可能性として見出すのも一つの有効な戦術であるのかなと感じさせられる次第です。
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